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不利益事実の不告知の故意

消費者契約法第4条第2項の不利益事実の不告知の要件は「故意又は重大な過失」です。かつて不利益事実の不告知は故意のみでした。法改正により、重過失が加わりました。
「消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意又は重大な過失によって告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない」

東急不動産だまし売り裁判

不利益事実の不告知の「故意は、当該事業者が不利益となる事実を認識していれば足る」との有力説があります。東急不動産だまし売り裁判の判決(東京地判平成18年8月30日・平成17年(ワ)3018号)も、この立場と位置付けられます(藤田寿夫「「不利益事実の不告知」(消費者契約法)と説明義務違反」香川法学39巻3・4号、2020年、20頁)。

事業者が不利益な事実を知っていたにもかかわらず、消費者に伝えないまま契約を進めた場合、それは法的な故意と見なされることになります。東急不動産だまし売り裁判は、事業者に対する情報開示の責任を重くし、消費者保護を一層強化します。消費者にとっては、購入後の生活に大きな影響を及ぼす事実は、開示されるべきだという強力なメッセージとなります。

●隠された不利益な事実が、法的勝利を導いた
「新築マンションを購入したのに、隣に建物が建って日当たりが悪化するなんて聞いていない!」。誰もが夢見るマイホームの購入が、一瞬にして悪夢に変わる。東急不動産が隣接地の建て替え計画を説明せずにマンションを販売し、購入者が契約の取り消しと代金の返還を求めた東急不動産だまし売り裁判。この衝撃的な事件は、消費者契約法の解釈を巡る裁判例となり、消費者の権利意識を大きく変えるきっかけとなりました。

東急不動産だまし売り裁判の争点は、消費者契約法で定められた「不利益事実の不告知」の成否です。東急不動産は、マンションを販売する際、隣接地の建て替えによって日照や眺望、通風が悪化するという重要な情報を説明しませんでした。真相を知った消費者は、消費者契約法を根拠に売買契約を取り消し、売買代金の返還を求め、東京地方裁判所に提訴しました(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』)。

東京地方裁判所は、この行為を「不利益事実の不告知」に該当すると認定し、消費者の主張を支持しました。東急不動産だまし売り裁判は、消費者が泣き寝入りすることなく、正当な権利を主張できる社会への一歩を示したものです。私たちはこの裁判を、消費者の権利を守るための歴史的な一歩として記憶するべきです。そして、今後も消費者が安心して取引できる社会を実現するために、東急不動産だまし売り裁判を活かしていく必要があります。消費者契約法を理解しましょう。不利益事実の不告知など、消費者を守る法律の知識を身につけておきましょう。
 

東急不動産だまし売り裁判 林田力
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